テレビ朝日50周年記念ドラマ、松本清張原作の 「疑惑」 を観た。 土曜に家にいてドラマを観るなんてうちの夫婦にとっては奇跡に近い。 田村正和の加齢度合い確認(←根性が悪い)、沢口靖子が科捜研とオンザリッツ以外ではどんなだったっけというのを観たくてチャンネルを合わせた。
作品の面白さを堪能するには弁護士を岩下志麻、被告を桃井かおりが演じた映画を観るのがいい。 今回のドラマでは室井滋が演じた新聞記者のバカさ加減を筆頭に人の描かれ方がみな浅いのだ。 田村正和がジャズバーでピアノを弾く理由もわからないしその際のファンの存在もうっとうしいだけ。 地味に出ていた中村雅俊の息子がなぜ今の世に公衆電話を使っているのかもわからない。
田村正和の殺された妻の最期のエピソード(以前田村が弁護を担当したが実刑になってしまった男が出所後復讐のため田村の妻子を襲う。 妻は幼子を守るため 「私を抱いていいから」 と言った、というくだり)もなぜわざわざそんな話をくっつけたのか意味不明というか不快でさえあった。
沢口靖子が演じた鬼クマも言動行動ともにどうもチグハグなのを隠すかのようにすぐに大声を出すのだが、やっぱり沢口靖子は声がいけない。 あまりにも清潔な役ばかり長年やってきてしょうがないのかもしれないが、役者としては酒とタバコでノドを焼いてでも図々しい声がほしかった。
しかし決定的にダメだったのが田村正和の声で、とにかく何を言ってるのか聞こえない。 共演していた津川雅彦、笹野高史、小林稔侍がそうであったように古い役者はこと声に関してはみなすばらしく、安心して聞いていられるはずなのに、田村正和だけは声を大きく張る場面は別として抑え目のトーンのところは聞き取り辛くてしょうがなかった。 きゅうきゅうしちゃって。
全体として映画と同じぐらいの長さなのになんだろうあのスカスカ感は。 でも前述した映画のDVDの売れ行きには貢献するかもしれない。 実際ヨメに 「映画は面白いんだってば!」 と力説している私もさっきから何度もAmazonをうろうろしているし。