「プロ仕様」のものに憧れる。
今日は剛毛のド直毛にパーマをかけに行ったが、理容・美容室は「プロフェッショナルユーズ」の宝庫だ。
ひとつ10万円ぐらいすると聞くハサミやそれを収納する革製のカッコイイベルト。ひげそりの泡立て器にはあまり食指が動かないものの、ジリジリとヒゲを剃る(「当たる」という店もある。それもシブイ)屈強のカミソリは是非一度手にしたい逸品だ。
テクノロジーも進んでいるとみえて、何やらパーマ液をプップッと垂らしてくるメカもある。目を閉じているので形状も機能もわからないが好奇心をものすごくそそる。「ちょっとそれ見せて下さい」という気持ちをグッとこらえて目を閉じたままメカについて想像を巡らす。
建設関連の職人が使う数々の道具もイイ。ホームセンターで腕を組み、怖い顔をして道具の品定めをしているニッカボッカ姿の中年男性は案外セクシーだ。
私の場合、以前の仕事では一応「電卓は12ケタでキーの重いもの。ボールペンは赤が色褪せない顔料インクのもの」くらいはこだわっていたが、今の仕事はパソコン(の安いやつ)でも用が足りるので「さすがプロ」という道具を持つことができないし、キーボードを叩くだけで「動き」も全然プロっぽくない。
道具が持てないなら、何かせめて「職人ぽい所作」ぐらいはしたい。「職人の動き」の中で一番カッコイイと思うのは、漁師が網に引っかかっている魚(特に伊勢エビのように網に絡まっているもの)を千枚通しのような道具を使って一匹一匹丁寧に外している姿だ。
洗濯を終えて洗濯ネットから妻のブラジャーを出そうとすると、ホックが必ずネットに引っかかる。モノによっては丁寧に扱わないと双方が傷つく。そんなとき私は「洗濯をする亭主」という少し悲哀に満ちた自らの姿を、憧れの「網から伊勢エビを外す漁師」に重ね合わせて「これは男らしい作業」として昇華することにしているし、実際できている。ウェルカムブラジャー。