最近テレビを観ていて何となく感じるのは「芸能人って声がよく出ている」ということだ。
芸人にしろ役者にしろ、舞台を経験したり声を張って話すことに慣れた芸能人の声は単に大きいだけでなく、普通の音量で話しているときにも「ノドがよく鳴っている」とつくづく思う。中尾彬や江守徹に顕著で。
「渡る世間」の最新シリーズでは「鬼」の代表、赤木春恵もすっかり年老いて弱ってしまった役を演じているが、声がやたらといい。あの弱り方でこの声はないだろう。
私はぼそぼそ話すので相手によく聞き返されてしまう。むしろ酒で声が荒れていたり、風邪で声がおかしいときなんかの方がノドがよく鳴る。「いっそこのままこの声になってしまいたい」とさえ思う。
ドアーズのジム・モリスンの声に憧れてノドを焼いた男がいるという話を聞いたことがある。ジムの場合は酒やらタバコやらドラッグやら「いけない要素」がいろいろと絡んでいそうだが、西洋人は骨格がそうさせるのか、言語の発声法からして違うのか、東洋人よりよく響く声をしている人がもともと多いように思う。
日本人はちゃんと発声を学ばなければなかなか「いい声」になるのは難しそうだ。とりあえずは「腹から声を出す」。これしかない。奈良県で逮捕された「ラジカセ大音量女」、声もすごい。毎日あれだけ腹から声を出していたらもうチャカ・カーンのように歌えるんじゃないか。