波田陽区が見事に消えている。私は彼のネタ自体(「ギター侍」はあくまでも「ネタのうちのひとつ」だそうだが)について「あれは何もしていない」と思っていたし、本人も「使われるだけ使われて消える」ようなことを言っていたので、昨年末あたりの尋常ではない忙しさもかわいそうだった。
でもトークで面白いことを話せないのだからしょうがない。チャンスはいっぱいあったのに、驚くほどしゃべれないから。悲壮感さえ漂うウェンツ瑛士の出しゃばりぶりと比較すると、今のバラエティー番組に食らいつくうえでその弱点は致命的だ。
とはいえ、波田は完全に消えているわけではない。日曜昼の「ウチくる?」の1コーナーではゲストゆかりの地へ赴いて相変わらず斬ろうとしているし斬れていない。でも一応レギュラーである。
ここで「ああまだコツコツ頑張っているんだな」と素直に思えればいいのだが、どうしても「ああ、(司会進行の)中山ヒデと事務所が同じだからな」というのが先に来てしまう。
テレビを見るときに「業界のウラ事情」みたいなものは一切排除して、純粋に「画面から見えるものだけ」について考えてみたいというのは故・ナンシー関のポリシーのひとつであった。わたしもそうありたいとは思っている。しかし画面で芸能人自身が「事務所の力がアレやから」みたいなことを言うので、ついつい情報として「誰がどの事務所で」というのが入ってくる。
「ウチくる」についてはビビる大木も同じ事務所だし、テレ朝の番組で、さまぁ~ずの横に必要とは到底思えない優香がずいぶんと長いこといるのについても「まあ同じ事務所だからしょうがねえか」と、「画面上の情報」より「業界事情」を納得とか不満の材料にしてしまう。
面白いのに、ふと「この番組、吉本のタレントだけじゃねえか」と気づいて急にそれが「なかよしクラブ」のように感じてしまったり、「石橋貴明の態度って、小さい事務所の意地、みたいなこともあるのかな」と想像したり。そういうのは考えたくないのに。