伊豆の修善寺はなかなか情緒あふれる温泉地だ。昨年の台風で老舗旅館も甚大な被害を受けたが、今は通常通り営業している。
桂川沿いの竹林は遊歩道となっていて、途中に直径3メートルはあろうかという竹製の丸い腰掛けがある。思い切ってごろりと寝転がってみると竹と青空しか見えない。しばし喧噪を忘れて「無」になれる。
などと旅行雑誌風気分に浸ってぽかんとしていたら、こんな会話が聞こえてきた。
「こうやって3人で歩くってあれみたいだね、テレビのさ。」
「『DAISUKI』ね。」
「そうそう。」
その声は寝転がっている私の足下から頭の方へ通り過ぎていった。
その後遊歩道脇の茶店でコーヒーを飲んでいたら、店の前の赤い橋を渡る3人がいる。男ひとりの両脇に女2人の全員20代。それがなんと、手をつないでいるではないか。
その不細工な男は両脇の不細工な女2人共と手をつないでいるのだ不細工な顔して。そう、まさに「DAISUKI状態」。しかし番組の撮影でもなければ飯島直子もいない。すれ違う他の観光客もみな振り返る。そして失笑。
だのにその3人、ちょっと「これ見よがし」なのだ。「ほら、いい感じの私たちを見て」と言わんばかりに。さらにすれ違った後の背中も「見てくれた?」と自意識たっぷり。なんだあのバカトリオは。
一体どういう関係なのだろうこの3人。兄妹や親戚にも見えないし、もしそうだとしても「手をつなぐ」って気持ち悪いだろうおえー。たぶんTBS「あいくるしい」のロケ地なんかを見に伊豆にやって来たのだろう不細工なクルマで不細工な音楽掛けて。早く帰れよ~助手席はどっちの女だよ。