ジョギングコース休日バージョンの河川敷コースにはハーモニカで昭和歌謡を吹いているお爺さんがいて、どうせならもっと大きな音で吹けばいいのに蚊の鳴くような音量であまりにうすら寂しいメロディを奏でてくれるので、私は
「日曜の夕方にそんな音色を聴かせないでよ」 と走りながら半ベソだ。
先週たまたま平日休みにそのコースを走ったら、ハモニカポインツ100メートル手前では何ヶ月も前から私が 「これ、摘んでいいんだろうか」 と目をつけていた、河原の土手に自生しているっぽい白いちじくの実を一心不乱に自転車のカゴに詰め込んでいる
「つげ義春の漫画に出てきそうな後ろ姿の爺さん」 と
「友達もおらずひとりで下校中にカバンの遠心力でくるくる回っている中学生」 がいたりして、グッとくるのに忙しかった。
あ、あといつも孤独に狩りをしているアオサギがいるのだが、最近その近くでじっとその様子をみているコサギがいて、それを追い払わずに狩りを続けるアオサギにもグッと来る。
「弟子にしてください」 「何も教えてやらねえけどな、 行く所がないならそうやって見てろ」 である。 犬や猫にはよくあるのだが、他の動物にまでグッと来るようになると私も忙しいな。